結論:まず「子どものころに何回打ったか」と「最後にいつ打ったか」を確認しましょう
破傷風ワクチンは全ての人に接種が推奨されます。屋外での活動中に起こるけがなどをきっかけに感染することがあるため、農作業やガーデニング、アウトドアなどでけがをする機会が多い人は、特に接種歴を確認しておきましょう。
基礎免疫がない場合は、まず3回接種して免疫の土台をつくります。基礎免疫がある場合、最後の接種から10年以上たっていれば、追加接種を検討します。
なぜ破傷風ワクチンを接種するの?
破傷風は、土の中などにいる破傷風菌が傷口から体内に入り、筋肉のけいれんなどを起こす病気です。発症すると死亡率が30%と高く、非常に危険です。
現在の日本では、子どものころにワクチンを受けることで予防するのが基本です。
ただし、大人になってからも免疫を保つために追加の接種を検討することがあります。
大人の場合は、生まれた年代や過去の接種歴によって、「最初から何回か接種するのか」「追加で1回接種すればよいのか」が変わります。
どんな人は特に確認しておきたい?
破傷風菌は土壌などに存在し、傷口から体内に入ることがあります。
そのため、次のような人は、けがをする前にワクチン歴を確認しておくとよいでしょう。
- 農作業や林業、建設など屋外で作業する人
- 家庭菜園やガーデニングをする人
- DIYなどで金属や工具を扱う人
- スポーツやアウトドア活動などでけがをする機会が多い人
- 災害などで土や汚れた環境に接触する可能性がある人
特に土に触れる機会が多い人では、破傷風ワクチンの追加接種を考えるメリットがあります。
しかし、米国CDC(米国疾病予防センター)や日本プライマリ・ケア連合学会のおとなとこどものワクチンサイトでは、野外活動の有無にかかわらず全ての人に接種を推奨しています。
まず知っておきたい3つの言葉
破傷風ワクチンについて調べると、「基礎免疫」「追加接種」「定期接種」という言葉が出てきます。
基礎免疫とは、ワクチンを必要な回数受けて、病気から身を守るための「免疫の土台」をつくることです。
追加接種とは、一度つくった免疫を長く保つために、時間がたってからもう一度ワクチンを受けることです。
定期接種とは、国が対象となる年齢や接種方法を決めている予防接種です。対象となる期間に接種すれば、原則として公費で受けられます。破傷風では、子どものころの5種混合ワクチンなどと、11~12歳の二種混合(DT)ワクチンが定期接種です。
一方、成人になってから予防目的で受ける破傷風ワクチンは、原則として任意接種(自費)です。 つまり、「大人になったら10年ごとに無料で受けられる」という制度ではありません。
なお、費用は医療機関によって異なりますが、任意接種の場合は1回4,000円が一つの目安です。
生まれた年代で「3回必要か、追加だけでよいか」が変わります
「こどもとおとなのワクチンサイト」では、生まれた年代と接種歴から、次のように整理されています。
| 生まれた年代 | 基礎免疫の考え方 | 成人になってから |
|---|---|---|
| 1967年以前 | 子どものころに破傷風を含む定期接種が行われていなかったため、原則として基礎免疫なし | 接種歴がなければ、まず3回接種して基礎免疫をつくる |
| 1968年以降 | 子どものころに定期接種を受ける機会があったため、接種を完了していれば基礎免疫あり | 最後の接種から10年以上たっていれば、追加1回を検討 |
1967年以前生まれで、破傷風ワクチンを受けた記録がない場合は、まず3回接種して基礎免疫をつくり、その後は10年ごとの追加接種を検討します。
1968年以降生まれの人では、定期接種を受けていれば、乳幼児期の破傷風を含むワクチン4回と、11~12歳の二種混合ワクチン1回を受けるスケジュールになっています。
ただし、「1968年以降生まれ=必ず基礎免疫がある」という意味ではありません。 定期接種を受けていない、途中で接種を中断したなどの場合は、基礎免疫がないと判断します。
母子手帳や予防接種記録が残っていれば、まず確認してみましょう。母子手帳がない場合は接種歴がないと扱うことがあります。
けがをしたときは、ワクチン歴が重要です
破傷風については、普段からの予防だけでなく、けがをした後の対応も重要です。
釘を踏んだ、土や泥が入った、深く刺さった、動物にかまれたなどの場合は、破傷風の予防が必要になることがあります。
まず傷口を流水で十分に洗い、汚れや異物を取り除きます。そのうえで医療機関では、傷の状態とこれまでのワクチン接種歴を確認して、追加のワクチンなどが必要か判断します。
ワクチンを何回受けたか分からない場合も、そのことを伝えてください。必要に応じて、ワクチンに加えて破傷風免疫グロブリンという薬を使うことがあります。
筆者の考え
破傷風は、農作業をする人だけがかかる病気ではありません。庭仕事やDIY、アウトドアなど、日常生活の中でも屋外でけがをすることは誰にでも起こり得ます。
そのため私は、破傷風ワクチンは、できるだけ多くの人に接種を検討してほしいワクチンだと考えています。
特に私が勤務する農村部では、農作業中にけがをして救急外来を受診する方が少なくありません。傷の処置と一緒に、破傷風ワクチンの接種を行う機会もよくあります。
けがをしてからワクチンを接種することも大切ですが、できればけがをする前から免疫をつけておくことが理想です。
「子どものころに予防接種を受けたから大丈夫」と思っている方も、一度確認してみてください。破傷風に対する免疫は時間とともに低下するため、基礎免疫をつけた後も、長期間接種していなければ追加接種を検討します。
「けがをしてから考える」のではなく、「元気なうちにワクチン歴を確認しておく」。
これが破傷風を予防するうえで最も伝えたいポイントです。
よくある疑問
Q. 破傷風ワクチンは、どのワクチンに含まれていますか?
子どものころに受けたワクチンの中には、破傷風の成分が含まれているものがあります。
現在の日本では、5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)に破傷風の成分が含まれています。5種混合ワクチンは、ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ、Hib(ヒブ)の5種類を予防するワクチンです。
また、11~12歳ごろに受ける二種混合ワクチン(DT)にも、破傷風の成分が含まれています。二種混合ワクチンは、ジフテリアと破傷風を予防するワクチンです。
以前は三種混合ワクチン(DPT)や、四種混合ワクチン(DPT-IPV)も使われていました。これらにも破傷風の成分が含まれています。
そのため、母子手帳や予防接種記録を確認するときは、「破傷風」という名前のワクチンだけを探すのではなく、「5種混合」「4種混合」「3種混合」「二種混合(DT)」などの接種歴を確認することがポイントです。
なお、ワクチンの種類や接種時期は年代によって異なります。接種歴が分からない場合は、記録を持って医療機関に相談してください。
Q. 傷ができてからワクチンを打っても間に合いますか?
けがをした後でも、破傷風の発症を予防するためにワクチンを使用することがあります。
ただし、傷の種類やこれまでの接種歴によって対応が変わります。特に、土や泥で汚れた傷、深い刺し傷などでは、早めに医療機関に相談してください。
まとめ:まず「3回必要か、追加1回でよいか」を確認しましょう
破傷風ワクチンは、全ての人に推奨されるワクチンです。
単純に「10年ごとに打つ」と考えるより、まず基礎免疫があるかを確認することが大切です。
- 1967年以前生まれで接種歴がない → まず3回接種
- 1968年以降生まれで定期接種を受けている → 最後の接種から10年以上なら追加1回を検討
- 接種歴が分からない → 母子手帳などを確認し、医療機関に相談
- 土や泥で汚れた傷、深い刺し傷などができた → ワクチン歴を確認して医療機関に相談
けがをしてから慌てて確認するのではなく、元気なうちに自分のワクチン歴を確認しておくとよいでしょう。
参考文献・情報源
- こどもとおとなのワクチンサイト「破傷風トキソイド」
- 厚生労働省「DTワクチン」
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「破傷風(詳細版)」
- CDC「Clinical Guidance for Wound Management to Prevent Tetanus」
- CDC「Tetanus Vaccination」
作成日:2026年9月11日
最終更新日:2026年9月28日


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