肺炎球菌ワクチンは65歳になったら受ける?2026年から変わった接種の考え方

目次

結論:肺炎球菌ワクチンは、65歳以上の人、または50歳以上で基礎疾患がある人が接種を検討しましょう。

「65歳以上の人」または「50歳以上で基礎疾患がある人」は、肺炎球菌ワクチンの接種を検討しましょう。

65歳なら定期接種の「プレベナー20」が基本です。定期接種の対象ではない人が任意接種を受ける場合は、「キャップバックス」を検討してください。

なぜ肺炎球菌ワクチンを接種するの?

日本において肺炎は重要な病気です。2023年の人口動態統計では、肺炎は死因の第5位でした。特に高齢者では重要性が高く、65~84歳では死因第4位、85歳以上では第3位となっています。

肺炎には、細菌、ウイルスなどさまざまな原因があります。その中でも肺炎球菌は、成人の市中肺炎で最も多く検出される原因微生物の一つです。日本の複数の研究をまとめた解析では、肺炎球菌が18.8%と最も多く検出されました。

肺炎球菌が特に問題になるのは、肺炎だけでなく、菌が血液に入り込む菌血症や髄膜炎など、命に関わる重い感染症を起こすことがあるためです。特に高齢者や基礎疾患がある人では、肺炎球菌による重症感染症への備えとしてワクチンを検討する意味があります。

誰が接種を考えればいい?

日本の日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会の合同委員会による2026年の指針や日本プライマリ・ケア連合学会の「おとなとこどものワクチンサイト」は、65歳以上の成人を対象として肺炎球菌ワクチンの接種を推奨しています。

また、64歳以下でも、免疫機能が低下している人、慢性の心臓・肺・腎臓などの病気がある人、糖尿病など、肺炎球菌による重い感染症のリスクが高い人については、接種を推奨しています。

そのため、日本で一般の人が考える場合は、

「65歳以上の人」または「50歳以上で基礎疾患がある人」

を、まず肺炎球菌ワクチンの接種を検討する人と考えると分かりやすいでしょう。

一方、50歳未満で基礎疾患がない人は、一般的には積極的な接種の必要性は高くありません。

なお、米国CDC(米国疾病予防センター)では2026年現在、50歳以上のすべての成人に肺炎球菌ワクチンを推奨しています。日本では接種制度や費用が異なるため、この記事では「65歳以上、または50歳以上で基礎疾患がある人」を主な接種検討者として考えます。

2026年から何が変わった?

2026年4月から、65歳などの定期接種で使用するワクチンが、ニューモバックスNPからプレベナー20に変更されました。

プレベナー20は、肺炎球菌の100種類以上ある型のうち20種類を対象とするワクチンです。定期接種では1回接種します。

定期接種と任意接種の違い

肺炎球菌ワクチンは、年齢や基礎疾患によって「定期接種」と「任意接種」に分けて考えると分かりやすいでしょう。

定期接種任意接種
主な対象65歳の人など定期接種の対象ではない人
費用自治体の公費補助あり原則として全額自己負担
2026年の主なワクチンプレベナー20キャップバックスなど

定期接種とは、国が接種を勧めているワクチンについて、自治体から公費の補助を受けて接種できる制度です。無料とは限らず、自己負担額は自治体によって異なります。接種する際はお住まいの自治体の案内を確認してください。

例えば、札幌市では自己負担額が7,200円です。生活保護受給世帯や世帯全員が市民税非課税の人は、所定の条件を満たせば自己負担が免除されます。

2026年度の高齢者の定期接種では、65歳の人がプレベナー20を1回接種します。

また、60~64歳でも、心臓・腎臓・呼吸器の機能に重い障害がある人や、HIVによる免疫機能の障害がある人は定期接種の対象になります。

一方、65歳未満で基礎疾患がない人や65歳を過ぎている人は定期接種の対象ではありません。

このような場合は、接種を希望するなら任意接種として検討します。

任意接種なら「キャップバックス」も選択肢

任意接種で選択肢になるのが、キャップバックス(PCV21)です。

キャップバックスは21種類の肺炎球菌の型に対応しています。

日本の成人の重い肺炎球菌感染症を調べたデータでは、原因となった肺炎球菌の型の74.5%をカバーし、プレベナー20の54.7%を上回っていました。

任意接種でより多くの型をカバーすることを重視するなら、キャップバックスを第一候補として検討できます。一方、プレベナー20より実際の肺炎や重い感染症をどの程度多く防ぐのかについては、今後さらにデータが必要です。

費用は医療機関によって異なりますが、2026年時点では1回1万5,000円程度が一つの目安です。

筆者の考え

60~64歳で定期接種の対象となる人は多くありません。そのため、基礎疾患があれば50歳以上で任意接種、基礎疾患がなければ65歳になるまで待って定期接種としてプレベナー20を接種し、65歳を過ぎていたら任意接種という考え方が分かりやすいと思います。

2026年現在、任意接種ではプレベナー20とキャップバックスの両方が選択肢になりますが、より多くの肺炎球菌の型をカバーする点から個人的にはキャップバックス(PCV21)を推奨しています。

よくある疑問

以前に受けたことがある人は?

以前にニューモバックスNPなどを接種したことがある人は、自己判断で追加接種しないようにしましょう。

「いつ、どのワクチンを接種したか」を確認して医療機関に伝えてください。過去の接種歴によって、次に選ぶワクチンや接種間隔が変わります。

肺炎にかかったことがあれば接種しなくてよい?

以前に肺炎になったことがあっても、それだけで肺炎球菌ワクチンが不要になるわけではありません。

肺炎には、肺炎球菌以外にもさまざまな原因があります。さらに、肺炎球菌には100種類以上の型があり、一度肺炎球菌に感染したからといって、ほかの型による感染まで防げるとは限りません。

そのため、過去に肺炎球菌による肺炎や重い肺炎球菌感染症になった人でも、年齢や基礎疾患などからワクチン接種が推奨される場合は、接種を検討します。

まとめ

肺炎球菌ワクチンは、年齢・基礎疾患・接種歴を確認して考えましょう。

接種すべきかどうか

  • 50歳未満で基礎疾患がない → 積極的な接種の必要性は低い
  • 50歳以上で基礎疾患がない → 積極的な接種の必要性は低い
  • 50歳以上で基礎疾患がある → 65歳を待たずに接種を検討
  • 65歳以上 → 接種を検討

接種するワクチンの種類

  • 65歳、基礎疾患のある60~64歳 → 定期接種としてプレベナー20
  • それ以外 → 任意接種としてキャップバックスを検討

覚えておきたいのは、「定期接種ならプレベナー20、任意接種ならキャップバックス」という考え方です。

以前に肺炎球菌ワクチンを接種したことがある人は、接種歴によって次の選択が変わるため、接種記録を確認してから医療機関に相談してください。

参考情報

  • 厚生労働省「高齢者の肺炎球菌ワクチン」
  • 日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 第8版」
  • 日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会「64歳以下のハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方 第4版」
  • こどもとおとなのワクチンサイト「肺炎球菌ワクチン」
  • CDC「Pneumococcal Vaccination」

作成日:2026年9月2日
最終更新日:2026年9月27日

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

総合診療専門医、家庭医療専門医・指導医

現在は農村地域の中規模病院で幅広い診療に携わり、特に予防医療に関心を持っています。

「からだの羅針盤」は、健診結果・予防接種・がん検診などについて、医学的な根拠をもとに、一般の方にも分かりやすく解説するサイトです。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次