RSウイルスワクチンは受けたほうがいい?対象者・効果・副反応をわかりやすく解説

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結論:すべての人に必要なワクチンではありません

妊娠中の方は、産まれた赤ちゃんをRSウイルス感染症から守るために、妊娠28~36週の時期に接種を推奨します。定期接種のため原則無料もしくは少ない自己負担で接種できます。

75歳以上の方や50歳以上で基礎疾患がある方は、助成のない任意接種ですが接種を検討しましょう。

なぜRSウイルスワクチンを接種するの?

RSウイルスは、子どもだけでなく大人も感染する身近なウイルスです。多くはかぜのような症状で済みますが、乳幼児や高齢者、持病のある人では肺炎などを起こし、入院が必要になることがあります。

特に、年齢が高くなるほどRSウイルスによる入院や重症化のリスクが高くなります。また、心臓や肺の病気、糖尿病などの持病がある人では、感染をきっかけに持病が悪化することもあります。

RSウイルスワクチンの臨床試験では、高齢者においてRSウイルスによる下気道感染症を減らす効果が確認されています。つまり、「かぜをひかないため」というより、「RSウイルス感染による肺炎や入院をできるだけ減らすため」のワクチンと考えると分かりやすいでしょう。

また、妊婦が接種した場合は、赤ちゃんの重症化を防ぐ効果が期待できます。厚生労働省によると、生後90日までの重症のRSウイルス感染症を約8割減らす効果が確認されています。

誰が接種を考えればよい?

現在、日本で成人に使われているRSウイルスワクチンには、アレックスビー(GSK社)とアブリスボ(ファイザー社)があります。基本的には1回接種です。ただし、妊婦が接種して赤ちゃんを守る「母子免疫」に使えるのはアブリスボです。

2026年度から、日本では妊娠28週0日~36週6日の妊婦を対象に、RSウイルスワクチンが定期接種になりました。定期接種とは、自治体が費用の大部分を負担して行う予防接種です。対象者は無料または少ない自己負担で受けられることが多いですが、具体的な費用は自治体によって異なります。

一方、高齢者へのRSウイルスワクチンは日本では定期接種ではなく、希望して受ける任意接種です。

米国CDC(米国疾病予防管理センター)では、75歳以上のすべての人、または50~74歳でRSウイルス感染症が重症化しやすい人に接種を推奨しています。

RSウイルスワクチンの費用は?

RSウイルスワクチンには、定期接種として公費で受けられる場合と、任意接種として自費で受ける場合があります。

2026年4月から、妊娠28週0日から36週6日までの妊婦を対象としたRSウイルスワクチンが定期接種になりました。例えば、仙台市では、定期接種の対象者であれば自己負担は0円(無料)です。

一方、定期接種の対象ではない人が接種する場合は任意接種となり、費用は医療機関によって異なります。

任意接種の場合、費用は医療機関によって異なりますが、30,000円程度が一つの目安です。

接種の種類対象費用
定期接種妊娠28週0日~36週6日の妊婦無料(仙台市の例)
任意接種定期接種の対象外の人29,810円(当院の場合)

なお、定期接種の対象や自己負担額は自治体によって異なる場合があります。また、任意接種の費用も医療機関によって異なります。接種を検討する際は、お住まいの自治体や接種予定の医療機関に確認してください。

筆者の考え

私の妻は妊娠中にRSウイルスワクチンを接種しました。当時はまだ定期接種ではなかったため、費用は高額でしたが、それでも接種する価値があると考えて選択しました。

私が研修した病院では、RSウイルスに感染すると呼吸状態が悪化する可能性があることから、6か月未満の乳児は基本的に入院して経過をみる方針でした。それだけ、乳児にとってRSウイルス感染は注意が必要な病気です。

今は妊婦へのRSウイルスワクチンが定期接種となり、以前より接種を受けやすくなりました。私は、これから生まれてくる子どもへの「プレゼント」の一つだと思って、妊娠中の方には接種を検討してほしいと考えています。

また、私は自分の親が高齢になったら、RSウイルスワクチンの接種を一度相談したいと考えています。特に、年齢が高くなった方や、心臓・肺などに持病がある方では、接種を検討する価値があるでしょう。

ただし、予防接種には費用がかかるため、すべてのワクチンを同時に受ける必要はありません。

もし肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチンをまだ受けていないのであれば、私はまずそちらを優先して検討します。肺炎球菌ワクチンは肺炎などの重症感染症を予防する目的があり、帯状疱疹ワクチンは帯状疱疹だけでなく、その後に残る神経痛を減らす効果も期待できます。また、これらは年齢によって定期接種や自治体の助成を利用できる場合があります。

そのため、「RSウイルスワクチンを受けるか」だけで考えるのではなく、肺炎球菌や帯状疱疹のワクチンを含めて、費用や持病、年齢などを考えながら順番を決めるのが現実的だと考えます。

よくある疑問

Q. RSウイルスワクチンは毎年受ける?

成人のRSウイルスワクチンは、基本的に1回の接種です。

インフルエンザワクチンのように毎年接種するものではありません。CDCでは、すでに1回接種した人への追加接種は現時点では推奨していません。

Q. 副反応はある?

接種した場所の痛み、腫れ、疲労感、頭痛、筋肉痛などが起こることがあります。多くは一時的です。

非常にまれですが、ギラン・バレー症候群という神経の病気との関連も指摘されています。海外の調査では接種後に発症する人がわずかに増える可能性が示されていますが、発症する人は非常に少なく、CDCはワクチンによる利益のほうが大きいとしています。

まとめ:結局、自分はどうすればいい?

妊娠28~36週の方→ 赤ちゃんを守るための定期接種です。

75歳以上の方や50~74歳で心臓や肺の病気、腎臓の機能低下、免疫機能の低下などがある方は、接種が推奨されます。

RSウイルスワクチンを考えるときは、「何歳だから受ける」だけでなく、「自分がRSウイルスで重症化しやすいか」を考えることがポイントです。


参考文献・情報源

  • 厚生労働省「RSウイルスワクチン」
  • 厚生労働省「RSウイルス感染症に関するQ&A」
  • CDC「RSV Vaccine Guidance for Adults」
  • CDC「RSV Vaccines for Adults」
  • Papi A, et al. N Engl J Med. 2023;388:595-608.
  • Lassen MC, et al. N Engl J Med. 2026;394:138-151.

記事作成日:2026年9月1日
最終更新日:2026年10月6日

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この記事を書いた人

総合診療専門医、家庭医療専門医・指導医

現在は農村地域の中規模病院で幅広い診療に携わり、特に予防医療に関心を持っています。

「からだの羅針盤」は、健診結果・予防接種・がん検診などについて、医学的な根拠をもとに、一般の方にも分かりやすく解説するサイトです。

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