乳がん検診は何歳から?マンモグラフィとブレスト・アウェアネス

目次

結論:40~74歳なら、2年に1回のマンモグラフィを

乳がん検診は、40~74歳の女性では2年に1回、マンモグラフィを受けることを基本に考えましょう。

日本の公的ながん検診では40歳以上を対象に2年に1回のマンモグラフィが行われています。米国のUSPSTF(米国予防医学専門委員会)も、平均的な乳がんリスクの40~74歳の女性に2年に1回のマンモグラフィを推奨しています。

ただし、乳房にしこりなどの症状がある場合は、検診を待つのではなく医療機関を受診してください。

また、マンモグラフィに超音波検査やMRIを追加すれば、より安心というわけではありません。現時点では、一般的な乳がん検診として追加することで死亡を減らす効果が十分に確認されていないため、一律には推奨されていません。

まず何をすればいい?

40~74歳で症状がない人

お住まいの自治体の乳がん検診を確認し、2年に1回マンモグラフィを受けましょう。

日本の公的な乳がん検診は、40歳以上・2年に1回・マンモグラフィが基本です。自治体によって、受診できる医療機関や費用、申し込み方法などが異なります。

乳房に変化がある人

次のような変化があれば、検診を待たずに乳腺外科などを受診してください。

  • 乳房にしこりを感じる
  • 乳房の一部がへこんでいる、ひきつれている
  • 乳頭から血の混じった分泌物が出る
  • 乳頭や乳房の皮膚に普段と違う変化がある

乳がん検診は、基本的に症状のない人を対象とした検査です。症状がある場合は、年齢にかかわらず診察を受けることが大切です。

なぜマンモグラフィなの?

マンモグラフィは、乳房を板で挟んで撮影するX線検査です。小さなしこりや、乳がんでみられることがある石灰化を見つけることができます。

乳がん検診では、「がんを見つけられるか」だけではなく、検診を受けることで乳がんによる死亡を減らせるかが重要です。

そのため、現在、一般的な乳がん検診の中心となっているのがマンモグラフィです。

超音波やMRIも受けたほうがいい?

一般的な乳がん検診として、マンモグラフィに超音波やMRIを追加することは、現時点では一律に推奨されていません。

超音波やMRIを追加すると、マンモグラフィだけでは見つからない乳がんが見つかる可能性があります。しかし、追加することで乳がんによる死亡を減らせるかについては、十分な根拠がありません。

USPSTFも、マンモグラフィで乳腺が高濃度だった人に対する超音波やMRIの追加について、利益と不利益を判断するための十分な根拠がないとしています。

家族歴や遺伝的な要因など、乳がんになるリスクが高い人では別の考え方が必要になる場合があります。こうした場合は、医師と相談して検査方法を決めます。

乳がん検診には「害」もあります

検診には、がんを早く見つける利益がある一方で、不利益もあります。

代表的なのが、放射線被ばく、偽陽性、不必要な精密検査や生検による身体的・心理的負担です。

例えば、東京予防医学協会の2014年度の地域健診では、視触診とマンモグラフィを受けた10,905人のうち、594人(5.4%)が要受診・要精密検査となりました。その後、実際に精密検査を受けた447人のうち、乳がんと診断されたのは28人(0.3%)でした。

このデータからは、少なくとも419人(3.8%)が「要精密検査」となったものの、乳がんとは診断されなかったことになります。つまり、約26人に1人が偽陽性の結果を受けた計算です。

これは2014年度の特定の施設・地域健診のデータであり、現在のすべての乳がん検診にそのまま当てはめられる数字ではありません。しかし、検診には「異常がない人まで精密検査を受けることになる」という不利益があることは知っておきましょう。

だからこそ、「検査は多ければ多いほど安心」と考えるのではなく、効果が確認された方法を適切な間隔で受けることが重要です。

「要精密検査」になったら?

乳がん検診で「要精密検査」となった場合は、症状がなくても精密検査を受けましょう。

精密検査では、追加のマンモグラフィや超音波検査などを行います。乳がんが疑われる場合は、乳房に針を刺して細胞や組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる「生検(せいけん)」を行うことがあります。

一方、「精密検査不要」であれば、基本的には次の検診まで待って構いません。ただし、その間に乳房の変化に気づいた場合は、検診を待たずに受診してください。

ブレスト・アウェアネス

ブレスト・アウェアネスとは、普段から自分の乳房の状態を知っておき、いつもと違う変化に気づけるようにする習慣です。

以前は「自己触診」という言葉が使われていましたが、現在は、しこりを一生懸命探すというより、普段の状態を知っておくことが重視されています。

厚生労働省は、月1回程度、自分の乳房の状態をチェックすることを案内しています。入浴時や着替えのときなどに、乳房の形や皮膚、乳頭に変化がないか、しこりや分泌物がないかを確認してみましょう。

ブレスト・アウェアネスは、マンモグラフィによる乳がん検診の代わりになるものではありません。検診を受けることと、普段の乳房の変化に気づくことは別のものとして考えましょう。

筆者の考え

乳がん検診について調べる中で、私が強く印象に残っているのが、小林麻央さんのニュースです。

当時、市川海老蔵さんの妻であった小林麻央さんが、34歳という若さで乳がんにより亡くなったことは、大きな衝撃を与えました。この出来事をきっかけに、若い世代でも乳がん検診を受けたいと考える人が増えたのではないかと思います。

もちろん、この一人の経験から「若いうちから全員がマンモグラフィを受けるべき」と考えることはできません。40歳未満の一般的なマンモグラフィ検診には、死亡を減らす十分な根拠がないためです。

一方で、乳房は自分で変化に気づくことができる部位です。私は、40歳になったら定期的に乳がん検診を受けることに加えて、年齢に関係なく普段から自分の乳房にも関心を持ってほしいと考えています。

月1回程度のチェックなら、検査費用も放射線被ばくもありません。特別な道具も必要ありません。入浴や着替えのついでに、普段と違う変化がないか確認する習慣を持ってみてください。

まとめ

乳がん検診で大切なのは、次の4つです。

・40~74歳なら、2年に1回マンモグラフィを受ける

・超音波やMRIは、一般的な検診として一律に追加する十分な根拠がない

・乳房に変化があれば、検診を待たずに受診する

・普段の乳房の状態を知る「ブレスト・アウェアネス」を意識する

乳がん検診は、検査を増やせば増やすほどよいわけではありません。効果が確認された検診を適切な間隔で受けることと、普段から自分の乳房の変化に気づけるようにしておくこと。この2つを組み合わせることが大切です。

参考文献・情報源

  • U.S. Preventive Services Task Force. Breast Cancer: Screening. 2024.
  • 厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」
  • 厚生労働省「ブレスト・アウェアネスについて」
  • 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん検診について」
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 予防医療・健康増進委員会 予防医療チーム「Evidence-based preventive medicine in JAPAN(根拠に基づく予防医療推進サイト)」
  • 東京予防医学協会「乳がん検診の実施成績」

記事作成日:2026年10月5日
最終更新日:2026年10月5日

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この記事を書いた人

総合診療専門医、家庭医療専門医・指導医

現在は農村地域の中規模病院で幅広い診療に携わり、特に予防医療に関心を持っています。

「からだの羅針盤」は、健診結果・予防接種・がん検診などについて、医学的な根拠をもとに、一般の方にも分かりやすく解説するサイトです。

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