結論:症状がなくても、高血圧が続いていれば治療が必要です
「血圧が高いと言われたけれど、何の症状もない。薬を飲む必要があるの?」と疑問に思う方は少なくありません。
結論からいうと、高血圧は症状がなくても、長く続いている場合は治療が必要になることがあります。
高血圧は、脳卒中、心臓病、腎臓病などの発症リスクを高めます。一方で、血圧が高いからといって、すぐに薬を飲まなければならないとは限りません。血圧の高さだけでなく、年齢、糖尿病、腎臓病、これまでの脳卒中や心臓病なども含めて判断します。
まずは、健診などで血圧が高かったら、家庭で血圧を測ってみることから始めましょう。
まず何をすればいい?
健診や病院で「血圧が高い」と言われた場合、次のように考えてください。
① 家庭血圧を測る
② 数日~1週間程度の血圧を記録する
③ 高い状態が続くなら、内科を受診する
血圧は、その日の体調や緊張、睡眠、飲酒などによって変化します。1回だけ高かったからといって、高血圧と決まるわけではありません。
家庭血圧を測れる場合は、朝と夜に測定して記録しておくと、診察の際にも役立ちます。家庭血圧は診断や治療の判断で特に重視されています。
なぜ症状がなくても治療するの?
高血圧の問題は、「今つらい症状があるか」ではありません。
血圧が高い状態が長く続くと、血管に負担がかかります。その結果、脳卒中、心筋梗塞などの心血管病、腎臓の病気などにつながる可能性があります。
しかも、高血圧の人の多くは自覚症状がありません。頭痛や肩こりなどを感じることはありますが、症状がないから血圧による影響がない、とはいえません。 WHOも、高血圧は症状がないことが多く、血圧を測らなければ分からないとしています。
つまり、高血圧の治療は「今ある症状を治すため」というより、将来の脳卒中や心臓病などを予防するために行うものです。
どのくらいの血圧なら高血圧?
日本高血圧学会の2025年の基準では、医療機関で測った血圧が140/90mmHg以上、または家庭で測った血圧が135/85mmHg以上になると、高血圧と診断する目安になります。
ただし、ここで注意したいのが、「高血圧の診断基準」と「治療の目標値」は同じではないということです。
高血圧と診断された人では、原則として、
- 診察室血圧:130/80mmHg未満
- 家庭血圧:125/75mmHg未満
を目標に血圧を下げることが推奨されています。ただし、めまいや立ちくらみなどが起こる場合や、高齢で体力が低下している場合などは、個別に調整します。
高血圧なら、すぐ薬が必要?
必ずしもそうではありません。
血圧が140/90mmHg以上でも、脳卒中や心臓病などのリスクが低い場合は、まず生活習慣を改善して、1か月以内を目安に血圧を再評価します。それでも十分に下がらなければ、薬による治療を開始します。
一方、血圧が160/100mmHg以上の場合や、糖尿病、脳心血管病の既往、蛋白尿を伴う慢性腎臓病などがある場合は、血圧がそれほど高くなくてもリスクが高いと判断され、生活習慣の改善とともに薬物治療を早めに始めることがあります。
このように、薬が必要かどうかは「症状があるか」だけでなく、血圧の高さと将来の病気のリスクを合わせて判断することが大切です。
自分でできることは?
高血圧といわれたら、薬の有無にかかわらず生活習慣を見直すことが大切です。
特に重要なのが減塩です。日本では食塩摂取量が多く、高血圧との関係も深いため、加工食品、インスタント食品、漬物、汁物などの摂り方を見直してみましょう。
そのほか、
- 適正体重を維持する
- 定期的に運動する
- お酒を飲みすぎない
- 喫煙している場合は禁煙を考える
- 野菜や果物を取り入れる
といった対策があります。生活習慣の改善によって血圧を下げられることがあります。
ただし、生活習慣を改善すれば薬は不要になる、と決めつけるのは適切ではありません。 血圧が十分に下がらない場合には、薬による治療を組み合わせます。
こんな場合は受診を
健診などで血圧が高いと言われた場合、症状がなくても一度は内科で相談しましょう。
特に、
家庭血圧が135/85mmHg以上の日が繰り返し続く
診察室で140/90mmHg以上を繰り返す
160/100mmHg以上の血圧が続いている
糖尿病、腎臓病、心臓病、脳卒中などの病気がある
という場合は、放置せず受診することをおすすめします。
また、180/120mmHg程度以上の非常に高い血圧に加えて、胸の痛み、息苦しさ、麻痺、ろれつが回らない、強い頭痛などの症状がある場合は、通常の高血圧の相談とは別に、緊急の対応が必要になることがあります。
よくある疑問
血圧が高いけれど症状がないなら、放置してもいい?
おすすめできません。
高血圧は症状がないことが多いため、「何ともないから大丈夫」とは判断できません。将来の脳卒中や心臓病などを予防するために、血圧を適切に管理することが重要です。
血圧の薬を飲み始めたら、一生やめられない?
必ずしもそうとは限りません。
生活習慣の改善などによって血圧が下がり、薬を減らしたり中止したりできる場合もあります。ただし、自分の判断で薬を中止すると血圧が再び上がることがあるため、変更する場合は医師に相談してください。
健診で一度だけ140/90mmHgだったら?
1回だけでは高血圧と決められません。
家庭血圧を測って、普段の血圧がどのくらいなのかを確認しましょう。繰り返し高い場合は、医療機関で相談してください。
まとめ
高血圧は、症状がなくても治療が必要になる病気です。
ただし、「血圧が高い=すぐ薬」というわけではありません。まず家庭血圧を測り、血圧がどの程度なのかを確認しましょう。
家庭血圧が135/85mmHg以上を繰り返すなら、内科で相談することを一つの目安にしてください。
そのうえで、血圧の高さだけでなく、糖尿病、腎臓病、脳卒中や心臓病の既往なども考慮し、生活習慣の改善だけでよいのか、薬による治療が必要なのかを判断します。
「症状がないから大丈夫」ではなく、症状がないうちに血圧を管理することが、高血圧治療の目的です。
参考文献・情報源
- 日本高血圧学会.高血圧管理・治療ガイドライン2025.
- 日本高血圧協会.高血圧Q&A.
- World Health Organization. Hypertension. 2025.
- World Health Organization. Guideline for the pharmacological treatment of hypertension in adults. 2021.
記事作成日:2026年9月8日
最終更新日:2026年9月8日


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